蓄光プリント【加工方法徹底解説】

蓄光プリントは、蓄光(フォスフォセント[phosphorescent])顔料をインクやベースに混ぜてプリントし、光を「蓄えて」暗所で自発的に発光させる特殊プリントです。

主にスクリーン印刷で使われ、ファッションのワンポイントから安全標示といった用途で使用されています。

特徴・仕上がり

光をため込む特殊なインクを使ってプリントし、暗闇でぼんやりと光るのが最大の特徴です。

明るい場所で光を浴びると、そのエネルギーを吸収し、暗いところで緑や青白い色に発光します。

Tシャツにプリントすると、昼間は少し黄緑っぽいインク色が見えますが、夜になると柄が浮かび上がるように光るため、遊び心のあるデザインにぴったりです。

発光時間や明るさはインクの種類やプリントの厚みによって変わり、厚めにインクをのせるほど光が長持ちします。

表面はややザラついた手触りになり、通常のインクに比べて若干硬めの仕上がりになるのも特徴です。

メリット・デメリット

■メリット

・視覚的インパクト

暗闇で自発光するためナイトイベントや遊び心あるデザインにおすすめ。

・バリエーション

顔料・配合・厚みによって発光色・持続時間を調整でき、ファッション用途から非常用表示まで使える。

・スクリーン/パッド等で加工可能

平面以外にも応用でき、金属やプラスチックへの蓄光印刷事例もある。

 

■デメリット

・発光は“厚み”に依存

薄く1回だけ刷ると発光が弱い。複数回のコーティングや高濃度配合が必要になるなど、工程・コストが上がる。

・耐熱・硬化の制約

蓄光顔料は高温で劣化するため、硬化温度や時間の管理が必須(過剰加熱で発光能が落ちる)。インクの希釈や柔軟剤の入れすぎも発光低下の原因に。

・洗濯・摩擦での劣化リスク

インク設計やバインダー次第で耐久性に差が出る。適切な配合と後処理(硬化・トップコート)が重要。

・仕上がりの外観差

昼間は淡い黄色〜黄緑っぽい色味が出るため、意図しない見え方になることがある。

おすすめの用途

夜イベント・フェス、ストリート系のアクセントTシャツ、キッズ向けアイテム、舞台衣装、ナイトラン用のワンポイント、ノベルティや限定コレクションなどがおすすめ。

非常表示や安全マーカー用途では高残光タイプ(SrAl系)も採用されます。

FAQ

Q1. どうやって“光らせる”の?
太陽光・蛍光灯・LEDライトなどの光で顔料を“充電”します。強い光・長時間の照射でより明るく・長時間光ります。短時間の充電なら短くぼんやりと光ります。

 

Q2. どれくらい光り続けますか?
顔料と条件次第ですが、古いZnS系は数分〜数十分、現行のSrAl₂O₄系では数時間の残光が期待できる製品があります。具体値は顔料グレードで差が大きいです。

 

Q3. 家庭洗濯は大丈夫?
適切に配合・硬化した製品は日常洗濯に耐えることが多いですが、乾燥機や強い漂白・長時間の摩擦は劣化を早めます。

 

Q4. 服の上で透明・下地は必要?
発光自体は顔料に依存するので下地の有無で“光るかどうか”は変わりませんが、暗所での見え方(昼間の見え方)や発色、顔料の乗り具合を良くするために白ベースや厚盛りを使うことが多いです。

 

Q5. 安全性(肌・環境)は?
市販の蓄光顔料(特にSrAl₂O₄系)は工業・消費財で広く使われていますが、原料や配合によって取り扱いに注意が必要です。

歴史

蓄光材料の歴史は古く、初期には硫化亜鉛(ZnS)系蛍光体が用いられました。

1990年代以降、ストロンチウムアルミネート(SrAl₂O₄)系の高輝度・長残光顔料が実用化され、衣料・表示・安全用品での用途が大きく広がりました。

テキスタイル分野ではスクリーン印刷技術の発達に伴い、蓄光粉をインクやプラスチゾルに混ぜて厚盛りする手法が一般化。

近年は顔料粒子の微粒化やコーティング改良で発光特性と耐候性の両立が進み、ファッション用途から防災・安全分野まで用途が拡大しています。

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