昇華転写【加工方法徹底解説】

昇華転写は、昇華性インクを専用プリンターで転写紙に印刷し、熱と圧力でポリエステル繊維に気化浸透させるフルカラープリント技法です。

布地に染料が染み込み、色落ちやひび割れが少なく耐久性に優れます。

特徴・仕上がり

昇華転写は熱によってインクが固体→気体に変化し、ポリエステルやポリエステル混紡の繊維に直接浸透・定着する仕組みです。

そのため、布地の風合いを損なわず、非常に滑らかで柔らかい仕上がりになります。
写真やグラデーションなどフルカラーデザインの再現性が高く、発色も鮮やかです。

濃色Tシャツよりも白や淡色ポリエステル生地で特に効果を発揮します。熱圧着時に柄が繊維内部に浸透するため、プリント部分の硬さがなく自然な着心地が得られます。

ただし、ポリエステル以外の素材には定着せず、綿などには不向きです。

メリット・デメリット

■メリット

・耐久性が高く、色落ちしにくい

インクが繊維内部に浸透するため、洗濯や摩擦に強く色落ちやひび割れが少ない。

・フルカラー・写真再現性が高い

グラデーションや写真の細部まで鮮やかに表現可能。

・柔らかい仕上がり

布地の風合いを損なわず、プリント部分が硬くならない。

・環境負荷が比較的低い

水性昇華インクを使用するため、廃液や有機溶剤の排出が少ない。

・複雑デザインに対応

多色や微細な柄も1枚ずつ高精度でプリント可能。

 

■デメリット

・ポリエステル限定

天然繊維(綿、麻など)には定着せず、素材が限定される。

・濃色生地には不向き

白・淡色生地での発色が前提で、黒や濃色生地では表現できない。

・熱圧着が必須

温度・時間・圧力の条件が適切でないと色ムラや転写不良が発生。

・小ロット以外はコスト高

1枚ずつ印刷するため、大量生産では効率やコスト面で課題がある。

おすすめの用途

スポーツウェア、マラソン・チームユニフォーム、イベントグッズ用の白や淡色ポリエステルTシャツの作成によく使われています。

写真やグラデーションデザインの再現が必要な少量多品種生産におすすめです。

FAQ

Q1. 綿素材には使えますか?
基本的に不可です。昇華インクはポリエステル繊維にのみ浸透します。

 

Q2. 洗濯で色落ちしますか?
繊維内部に染料が定着するため、通常の洗濯ではほとんど色落ちしません。

 

Q3. 濃色Tシャツでもできる?
白や淡色生地が前提で、濃色は不可。どうしても濃色で使う場合は、専用の下地や他プリントとの併用が必要です。

 

Q4. 写真やグラデーションも綺麗に出せますか?
昇華転写はフルカラー表現に優れ、写真やグラデーションを滑らかに再現できます。

 

Q5. どのくらいの耐久性がありますか?
適切な熱圧着であれば、洗濯数十回でも色落ちやひび割れがほとんどなく長持ちします。

歴史

昇華プリントの技術は20世紀中盤に開発され、最初は工業製品や広告用素材で使用されていました。

1980年代以降、ポリエステル製衣料への応用が進み、1990年代にはデジタルプリンターとの組み合わせで昇華インクの精密印刷が可能となりました。

近年ではスポーツウェアやカスタムTシャツでの利用が拡大し、フルカラーデザインやグラデーション表現を可能にする主要なプリント方法として定着しています。

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