メイクで社会貢献。Tシャツをアイコンに高齢者支援の輪を広げる

NPO法人 美メイク・アクトレスは、「女性は輝くために生まれてきた」をコンセプトに、美容やメイクを通して女性の社会進出や生活の質(クオリティ・オブ・ライフ)の向上に尽力しています。

 

同法人では「福祉ケアメイク」を行うセラピストを養成。誰もが無理なく簡単に、地元で社会貢献できると好評です。福祉ケアメイクを受けた高齢者がセラピストになったケースも。お揃いのオリジナルTシャツに身を包み、高齢者に負けない笑顔で活動しています。

 

今回は、兵庫県姫路市にある「特別養護老人ホームむれさき苑」にて、同法人代表の大地良枝さんにインタビューを行いました。

メイクの力で高齢者を元気にする「福祉ケアメイク」の特徴

―― 「福祉ケアメイク」はあまり聞きなれない言葉ですが、一般的なメイクとはどこが違うのですか?

 

一般的なファッションメイクのように、見た目の美しさだけを追求するものではありません。福祉ケアメイクは、高齢者の日常生活を支援することが目的。それゆえ、外面だけでなく、内面についても心を配っていることが大きな違いです。

 

メイクを施す相手は60歳半ば~90歳代が中心ですので、例えば、家に帰ってから一人でも落としやすいメイクをするなど、気遣っています。他にも、ファンデーションをパフで手軽に塗る独自の技術など、化粧品と美容業界で長年働いてきた経験があちこちで活かされています。ちなみにメイク時間は、一人でも多くの方に触れさせてもらうため、顔のマッサージを含めて15分ほど。「私にでもできそう!」と思えるような、簡単さも特徴です。

 

―― たった15分とシンプルですが、顔のマッサージも取り入れているせいか、血色が良く、ツヤも増していて、表情や会話など内面から輝くように変わって驚きました。

 

メイクを受けることで「人生はまだまだこれから」と元気が湧いてくれると嬉しいですね。実際、帰りに買い物や食事に行かれたり、お孫さんや近所のご友人に会いに行かれたり、写真を撮ってもらったりと、行動的になる方が多いですよ。

 

―― メイクの力って、すごいですね。そのことが、NPO法人を設立するきっかけになったのですか?

メイクは、一目見ただけで大きく変わったことがわかるため、人の心に訴えるのが早く、ご本人はもちろん、周囲の人々を巻き込む力があります。こんな素敵なツールを社会貢献に使わないのはもったいない。そう考えていた矢先、特別養護老人ホームむれさき苑さんから、「利用者のお出かけ用にメイクをしてほしい」と依頼がありました。

 

こちらが好評で、デイサービスの行動療法のプログラムとしてレギュラー化。毎月、訪れるたびに、高齢者が生き生きとなる様子を目の当たりにして、私もたくさん元気をもらいました。その気持ちを一緒に共感できる仲間を増やしたいという思いが募り、平成24年に「NPO法人 美メイク・アクトレス」を立ち上げたんです。

Tシャツを着ることでプロフェッショナルモードに。一体感や連帯感も増す

―― 「美メイク・アクトレス」のセラピストは、どんな人がいらっしゃいますか?

現在は約50人の会員さんがいます。介護福祉士や看護師といった専門職をはじめ、専業主婦の方がメイン。年齢層は、50歳代を中心に20~80歳代と幅広く、福祉ケアメイクを受けられたのがきっかけに、セラピストになられた方もいらっしゃいます。

 

―― ユニフォームのオリジナルTシャツはスタイリッシュですね。大地さんがデザインを考案されたとうかがいましたが、どんな点を意識しましたか?

 

福祉といえば、ハートやお花などをモチーフにしたものをよく見かけますが、それらはアットホームで温かい雰囲気は表現されているものの、その意味は伝わりにくいのではないかと感じていました。

 

ですので、「美メイク・アクトレス」のオリジナルTシャツでは、私たちがどんな団体なのか、専門性がイラストと文字でわかり、さらに美容というより行動療法、福祉ケアとしてきちんとしたイメージが伝わるよう、シャープでキリッとしたデザインを心がけました。

 

ちなみに、このオリジナルTシャツを着ることで、セラピストからは「セラピストとしてのスイッチが入り、プロフェッショナルとして気持ちが切り替わる」とよく聞きます。さらに、セラピスト以外にも、むれさき苑の担当者さんをはじめ、関係者全員がお揃いのTシャツを着ることで、勤務先やバックグラウンド、年齢、性別などに関係なく、同じチームの一員としての責任感と仲間意識が生まれ、一体感や連帯感が増しているように思います。まさに、ユニフォームの効果ですね。

セラピストが地元で活躍できるロールモデルを作り全国へ

―― 美メイク・アクトレスの活動は、現在どこで行われているのでしょうか?

 

姫路市を中心に、西播磨、明石市や神戸市、阪神間、宮崎県など、その輪が広がっています。宮崎県では、旅や体験を通して健康促進を図る「観光プログラム」のひとつとして、観光地で福祉ケアメイクと写真撮影を組み合わせた観光ツアーなども開催しており、そのメイクや研修、監修を担当。このプロジェクトは、高齢者や障がい者とその家族に大変喜ばれ、現在も宮崎県西都市の事業では、アクティブシニア・セラピスト創出で賑わっています。

 

―― ここ「むれさき苑」でも、今年の8月にグループホームが誕生し、新しい取り組みが始まるそうですね。

 

むれさき苑さんの療法では、今までは施設利用者だけが受けられていますが、新しいグループホームでは、毎月「にぎわいお化粧療法カフェ」を開き、施設利用者だけでなく、ご家族やご近所の方にも無料で受けてもらう予定です。その中から「地元のために社会貢献したい」というセラピストが生まれ、そのカフェが活躍の場になればと考えています。

 

というのも、セラピストの福祉ケアメイクは、やりがいも生きがいもあり、副業としても望める画期的なものですが、継続ができなくては活動をしていないのと同じことです。セラピストたちが継続して活動するためには、自分たちの地元で、自分たちの活躍する場を開拓し、営んでいくことが大切だと思っています。「にぎわいお化粧療法カフェ」が、そのロールモデルとなり、ここを拠点に各地に取り組みが広がるよう、これからも頑張っていきたいですね。

垣根を越えて一丸になれるお揃いのTシャツは、地域活動で重宝される

近年は、異なる会社や団体がコラボをしたり、個人や少人数で働いている人がイベントなどでチームを組んだりすることがよくあります。立場や年齢、性別など、さまざまな垣根を越えて、一丸になれる最適なアイテムが、お揃いのオリジナルTシャツではないでしょうか。

 

サッカー選手と同じユニフォームを着たサポーターが「12番目の選手」と呼ばれ、選手たち一体となって戦っていることに似ているかもしれません。その際には、美メイク・アクトレスのようなおしゃれなTシャツだと、ひとりひとりがチームに誇りを持つことができ、全体のモチベーションもアップすることでしょう。

 

8月にスタートする「にぎわいお化粧療法カフェ」では、新たに地域のご近所さんも「美メイク・アクトレス」のメンバーに仲間入りするでしょう。団結を生むアイテムとして、お揃いのTシャツが今以上に重宝されそうです。

 

Interviewer&Writer:児島奈美
Special Thanks:特別養護老人ホームむれさき苑の皆様

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【取材協力】大地良枝さん

NPO法人 美メイク・アクトレス代表

化粧品会社の営業インストラクター、エステ関連商社のゼネラルマネジャー、エステグループ会社の代表取締役等を歴任して独立。心理学を修め、平成21年に「セラピールーム・アクトレス」の活動を始め、平成24年1月に「NPO法人 美メイク・アクトレス」を設立。メイクや美容を通して、女性が女性らしく、人が人らしく、美しく健康的に過ごせる社会の実現を目指し、講演活動と「美メイクセラピー(お化粧療法や福祉ケアメイクなど)」で、女性の社会進出や生活の質の向上を支援する。その活躍は、企業や各種団体での講演やスタッフ研修講師、キャリアコンサルタント、各市の事業の指導相談など多方面にわたる。■HP:http://bimake-actress.info