発泡プリント【加工方法徹底解説】

発泡プリントは、発泡剤を混ぜた特殊インクをスクリーンで印刷し、熱を加えてインクを膨らませることで「ぷっくり」立体的な表現を作る手法です。

スウェットやパーカーへの大きめロゴや太いラインのプリントに使われることが多い加工です。

特徴・仕上がり

基本はスクリーン印刷の派生で、ラバー系や発泡専用インクに「発泡剤(フーミングエージェント)」を混ぜてプリントします。

印刷後にインクを一度乾かし、別工程で熱(熱プレス・コンベア乾燥など)を加えるとインク内部の発泡体が反応して膨張し、表面がモコモコと盛り上がります。

結果として輪郭が丸くなり、陰影が生まれて視覚的にも触覚的にも存在感のある仕上がりになります。

細かいディテールや細線の再現は不得手ですが、太めのロゴ・ワンポイント・箔感のない立体表現に強く、他のプリント(ラバー重ね、フロック併用、グラデ+パフ)との組合せで表現幅が広がります。

メリット・デメリット

■メリット

・強い視覚的インパクト

立体的で影ができるため、デザインが際立ちます(ロゴやワンポイントに有効)。

・触感の演出

触ると柔らかくモコモコした手触りになり、差別化しやすい。

・応用表現が豊富

下地に発泡+上から別インク、フロックの貼付け、高発泡(より厚みを出す)などのバリエーションが可能。

・工程上の自由度

スクリーン印刷ベースなので色数や位置の自由度は比較的高い。

 

■デメリット

・発色がくすみやすい

発泡で気泡を含むため、色はやや白っぽく/くすんだ見え方になりやすい(特に濃色では顕著)。

・生地のよれや負荷

膨らむ分だけインク量や熱処理が増えるため、薄手生地ではヨレや歪みが出やすい。厚手や裏毛向けの方が安定。

・細部表現に不向き

網点や微細表現は潰れやすく、輪郭が丸くなるためシャープさが落ちる。

・加工工程・コスト増

プリント→乾燥→発泡(加熱)と工程が増え、条件調整やテストが必須。高発泡など特殊指定は工程管理がよりシビア。

おすすめの用途

スウェットやパーカーの太めロゴ、ストリート系のアイコニックなワンポイント、ボリュームを活かしたブランドロゴ、限定コレクションのアクセントなど、立体感と手触りで差をつけたいアパレルに適しています。

FAQ

Q1. 洗濯で剥がれますか?
適切なプリント量・乾燥・発泡工程で仕上げれば日常洗濯に耐えることが多いですが、乾燥機の高温・強い漂白は避けてください。製法と後処理により耐久性は変わります。

 

Q2. 薄いTシャツでも使えますか?
生地が薄い場合、発泡膨張で生地がよれる・裏面に影響が出ることがあるため、薄手Tでは注意が必要。裏打ちや低発泡量・小面積での利用が推奨されます。

 

Q3. グラデーションや写真はできますか?
発泡自体は面表現なので単色〜簡単な多色グラデは可能ですが、写真や極細のグラデは向きません。グラデ+パフの組合せは技術的に可能ですが色の見え方が変わる点に注意。

 

Q4. 発泡の高さは調節できますか?
できます。インクの処方(発泡剤量)、版の厚み、プリント量、加熱温度・時間で膨らみ量を制御します。ただし過膨張は生地ダメージやクラックの原因になります。

歴史

発泡プリントはスクリーン印刷技術の応用の一つで、スクリーン印刷のラバーインクに発泡剤を加える発想から発展しました。

産業用スクリーン技術と化学的な発泡剤(加熱で発泡するカプセルや発泡化合物)の進化により、20世紀後半以降にファッション用途へ応用され、ストリート/スポーツアパレルで定番化しました。

近年は「高発泡」「グラデ×パフ」「アンダーパフ+ラバー重ね」など表現が多様化し、単なる“もこもこ”加工からデザイン表現の重要な手法の一つへと位置づけられています。

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