ラバー転写プリント【加工方法徹底解説】

色付きのビニールやポリウレタン(PU)系シートをカッティングプロッターで切り出し、熱と圧力で生地に圧着する加工方法です。

単色〜多層のロゴやネーム、背番号に向く仕上がりになります。

特徴・仕上がり

ラバー転写は「素材そのもの(シート)」を貼る方式で、切り出し(カット)→不要部分の除去(ウィーディング)→位置決め→熱プレスで定着、という工程が基本です。

シートはポリウレタン(柔らかく伸びが良い)/ポリ塩化ビニル(やや硬めで丈夫)が主流で、フロック(起毛)、グリッター、メタリック、リフレクティブ、3Dパフ(盛り上げ)など多様な表現が可能です。

透明フィルム(キャリア)に載った状態で配置できるため位置合わせが容易で、エッジがシャープに出るのが特徴。

厚みや手触りはシート種と層数で決まり、大面積や多層では生地感が変わりやすい点に注意が必要です。

プレス条件はシートごとに異なりますが、衣料用の目安は概ね120〜150℃・数〜15秒程度の短時間プレスが多く、温度・圧力・剥離(ホット/コールド)管理が品質を左右します。

メリット・デメリット

■メリット

・シャープで視認性が高い

文字・ロゴの輪郭がくっきり出るため、背番号や社名のプリントに適します。

・耐久性が高い

適切に圧着すれば洗濯耐久性が高く、スポーツユニフォームで実績あり。

・小ロット・個別名入れに強い

版なしで1枚から、1枚ごとに違うネームや番号を作成可能。

・表現バリエーションが豊富

グリッター、フロック、メタリック、反射など特殊表現が多彩。

 

■デメリット

・細かい表現に弱い

ミクロな網点・写真・細線はカットやウィーディングで再現不能。

・生地感の変化

シートが表面に残るため、通気性や伸縮性が損なわれる場合がある。大面積は特に注意。

・多色は工程増/ズレリスク有

色ごとに切って重ねるため、位置合わせ・段差・剥がれのリスクが上がる。

・高温耐性の低い素材は不可

熱に弱い素材(特殊コーティングや一部ナイロン等)では使えないことがある。

・大ロットではコストがかかる

大量同一柄はスクリーンや他転写方式の方がコストを抑えられる。

おすすめの用途

ユニフォームの背番号・選手名、ショップロゴのワンポイント、イベント物販のカスタムネーム、グリッターや反射を活かしたアクセント使いなど、視認性と耐久性が求められる用途に最適です。

小〜中ロットの個別対応に強みがあります。

FAQ

Q1. どんな生地に使えますか?
綿・綿混・ポリエステルなど一般的な衣料に幅広く使えます。ナイロンや撥水加工品は適切なシート選定が必要となります。

 

Q2. どのくらい持ちますか?
適切に圧着すれば、数十回以上の洗濯に耐えるケースが一般的です。ただし、乾燥機や強い摩擦、漂白剤の使用は寿命を縮めます。

 

Q3. 細かい写真のプリントはできますか?
基本的に不可。写真や微妙なグラデーションはインクジェットプリント(DTG)/DTF/昇華など「面で表現する方式」が向きます。

 

Q4. 多色で重ねても大丈夫ですか?
可能ですが、位置合わせ、層間の密着、厚み対策が重要です。多層は縫合や段差感が出るため設計で工夫が必要となります。

 

Q5. 光沢やマットなど質感は選べますか?
艶あり、マット、ラメ、蛍光、リフレクターなど多彩なバリエーションがあります。仕上がりイメージに応じて選択できます。

歴史

ラバー転写(HTV)は、看板やデカール用の塩ビフィルム技術と熱接着材料の発達をベースに発展しました。20世紀後半からの熱転写技術の普及に伴い、衣料用に特化した薄膜ビニール/PUフィルムが開発され、カッティングプロッターの普及(コンピュータ制御カットの一般化)とともに小ロット・カスタム用途で急速に広まりました。

2000年代以降はプリンタブルHTVや伸縮性の高いPU、低温対応材など素材の多様化が進み、個人や小規模事業者でも扱いやすいワークフローが確立。

現在はユニフォームやアパレルのカスタム分野で定番技術の一つになっています。

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