ビブスがエコバッグに!デザイナーに聞くユニフォーム作りの知恵

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地域や自治会の活動として一般的だった「町のお掃除」ですが、現在は社会的活動としても認知されるようになりました。2008年から伊豆市を中心に清掃活動を行う「NPOサプライズ」は、2011年より地元の高校生を活動の中心に据え展開。毎月、複数の高校が参加し、中には生徒会の部活動にまでなっている高校もあるそうです。

 

この活動のユニフォームが、オリジナルデザインのビブスです。実はこのビブス、エコバッグに変身するというユニークで実用的なデザイン。このビブスの開発者であるグラフィックデザイナーの浅井由剛(あさい ゆうごう)さんに「エコバッグビブス」の誕生秘話をインタビューし、ユニフォーム作りの秘訣をお聞きしました。

バッグに変わる実用性が買われ、清掃活動のユニフォームに

―― 「ビブスがエコバッグに早変わり」。この発想はどこから生まれたのですか?

 

10年以上も前ですが、洋菓子店を都内で新規出店する人から声をかけられたことから始まっています。あるイベントに彼が出店する際、おもしろくて可愛い雑貨も販売したいから何か作ってほしい、と依頼されました。当時エコバッグがブームになっていたことをヒントに「エコバッグなのに子ども服」が作れたらおもしろいなと思ったのです。

 

―― では、最初は子どものノースリーブTシャツだったんですか?

 

そうなんです。サイズも子ども用で小さく、素材もコットンの肌触りが良いもの、そしてスイーツをモチーフにデザインしました。

 

―― どうやって使うのですか?

 

構造は当時の子ども用から変わりませんが、ビブスの下の部分・胴のところがファスナーで開閉できます。着るときはファスナーを開けて、そこから被って着ます。エコバッグとして使う場合は、下の部分を全て閉めます。丈夫なファスナーを使っていますから、普通に荷物を入れても大丈夫ですよ。

 

―― 伊豆のNPOサプライズから依頼されたのはどのような経緯だったのでしょう?

 

この商品を見たサプライズ代表が、清掃活動のユニフォームにぴったりと思ったらしくて声をかけてくれました。サッカーファンの彼は「これはビブスみたいだ」と(笑)。また、ビブス型のユニフォームだったら動きやすいと思ったそうです。丁度、清掃活動を立ち上げられたばかりの段階で、自分たちのユニフォームを作りたいと考えていたときのようでした。

 

ちなみに、目をつけていただいたのは、ビブスがバッグになるというところ。参加者は電車に乗って集合するため、自宅からユニフォームは着ないだろうし、各自持参する軍手やゴミ袋、トング入れが必要。ユニフォームがバッグになれば、まさに一石二鳥ということです。

ロゴには「活動が根付き大樹となって花を咲かせるように」という願いを込めて

―― ビブスのデザインはどのようにして決められたのですか?

 

サプライズの方たちとよく話し合いながら、デザインの構想を練っていきましたね。2009年から2013年まで、毎年テーマを変えていきました。サプライズが「清掃甲子園」という企画を2011年から始めたので、2014年版からは前面に「清掃甲子園」という、ちょっとゆるっとした印象の文字を入れています。

―― 樹をモチーフにしたサプライズのロゴマークは浅井さんのデザインですか?

 

ええ、そうです。依頼されたとき、まだロゴがなかったので、コンセプトから決めていきました。「この活動が地域に根付き、それが大樹のように広がり育ち、美しい花を咲かせるように」という願いを込めています。

 

―― だから、広がるような印象を受けるのですね。肩の反射テープは夜に目立つように考えてのことですか?

 

夜の活動もあるため「(肩の反射テープは)必要だね」となりました。これも試行錯誤したんですよ。年度によっては肩のところ以外にも別の箇所に反射テープを取り付けています。

 

ただ、「デザインがうるさくなるし、安全上なくても問題なさそう」となり、最終的に肩のラインだけに落ち着きました。

デザインをコントロールしないと当事者の想いが乗ったユニフォームは作れない

―― デザインサンプルを拝見すると他の団体のものもあるようですが……

 

サプライズのビブスを制作してから全国各地からご依頼をいただいたんです。各地の観光協会や清掃活動団体、海岸清掃団体、観光スポットにもなっている祭りの主催者など。そして、海外の留学生たちに清掃活動ボランティアで地域の人とコミュニケーションの場を作る団体からも依頼がありました。こうしたご依頼はNPO同士の横のつながりの力だと思います。

 

―― さまざまなところで浅井さんのビブスが活躍しているなんて嬉しいですね。やはりみなさん、オリジナルユニフォームが欲しいと思われているようですね。

 

そうだと思います。ただ、「どんなデザインにしたらいいのかわからない」「何が自分たちらしいのか判断できない」といったケースが多いように感じますね。そこで、私たちデザイナーがお役に立てるのですが、とはいっても、その団体の個性や想いを理解しないでカッコいいだけのデザインをしてはいけません。両者が歩み寄って話し合いを重ねながら、互いの結びつきを強くしていくことが大切です。

 

―― 発注側も自分たちの意思表示としてデザインを考えることが必要なのでしょうか?

 

デザイナーに丸投げするのではなく、「自分たちは何をどうしたいのか」「何でこのデザインにするのか」を一緒になって考え、デザインを自分たちでコントロールする意識が求められるのではないでしょうか。

 

―― 「デザインをコントロールする」ということについて具体的に教えてください。

 

自分たちがデザインで、何を表現し、どうアピールしたいか、そして、どんなメッセージを乗せたいかなどの価値基準を持つことがコントロールの第一歩です。それがないと、活動とデザインが一致せず、独りよがりなものに……。すると、当事者たちも違和感を抱くようになり、そこに想いが乗らなくなってしまいます。そうなると、もうユニフォームを作る目的や狙いもうやむやになりかねません。

 

こういう声は、当事者の中から上がることが理想です。誰だって外から言われると「知らないくせに」と意見を聞きたくない心理が働くことがありますよね。私たちがデザインする際もクライアントと本質的なことも話し合って、一緒にデザインを創る気持ちで取り組んでいます。

 

―― そういった視点で見ても「エコバッグビブス」は、当事者の想いが乗った素敵なユニフォームですね。浅井さんにとって、エコバッグビブスの経験はどのように生きていますか?

 

このデザインをきっかけに、「地方におけるデザインとは?」ということを改めて考えさせられました。そして、実際に地方との関係を深めながら「活動とデザイン」の在り方に取り組むことができています。

 

「その地域らしさ」や、そこに住む人たちの「自分らしさ」、そして「団体らしさ」を表現するデザインは、これからますます重要になるでしょう。それにはデザイン戦略が必要で、クライアントと共に考えるアートディレクターとしての役割も果たしていきたいですね。

想いが込められたユニフォームは“ヒト”と“コト”をつなぐ架け橋となる

洋服がエコバッグに変身するという「エコバッグビブス」は、デザイナーの遊び心と創造性、実用性への追求から生まれました。それが、清掃活動につながり、各地方団体に波及しています。モノがヒトとヒトとをつなぎ、コトがどんどん起きていく……そんな印象を受けました。

 

デザインする側と使う側の想いが込められたモノだからこそ、ヒトとコトをつなぐ架け橋となるのでしょう。

 

Interviewer&Writer:佐藤美の

 

※このページで紹介されているビブスバッグは、当社(プラスワンインターナショナル)の商品ではございません。商品に関するお問合せは承ることが出来かねますので、何卒ご了承ください。

【取材協力】浅井由剛さん

株式会社カラーコード代表取締役

「インタラクティブなコミュニケーションで思いを共有して、一緒に戦略を立てる」をコンセプトに、クライアントの思いを形にするパートナーとして活動を展開。一方で、焼津市まちづくりコーディネーター講座、伊豆市未来塾などのセミナーを担当。そして、子ども達と一緒に作るガイドブック「KURURA」の活動や三島市クリエイティブ人材育成事業などを手がける。■HP:https://www.colorcode-inc.com/

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