緑のユニフォームで街をきれいに。ゴミ拾いNPOが目指す社会

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「朝早く街の掃除をしているのは、町内会のご年配の人たち」。そんなイメージもある「街の掃除」ですが、緑のビブス(ゼッケン)を着て、学生や社会人が楽しそうに「ゴミ拾い」をしている団体があります。

 

2002年、原宿表参道から始まった街の掃除プロジェクト「green bird(グリーンバード)」です。「きれいな街は、人の心もきれいにする」をコンセプトに、定例の掃除活動や「ゴミのポイ捨てカッコ悪いぜ!」PR活動を続け、今や国内外で約80チームが結成されています。

 

今回は、東京の港区虎の門エリアで活動している「虎の門チーム」に密着取材しました。

同じ緑のユニフォームで一体感を醸成。道行く人へのアピールにも役立つ

朝活タイプの「虎の門チーム」には、毎回30名前後が参加。虎の門ヒルズから虎ノ門駅方面に向かうチームと、虎の門ヒルズから新虎通りを往復するチームに分かれて掃除します。

 

「新虎通り組」で掃除を行う参加者からは「朝から良いことをしている気分で、リフレッシュになります」「同じビブスを着ていると、一体感が出て楽しいです」「みんなで同じユニフォームを着て活動することで、道行く人たちにアピールできますよね」といった声が聞かれました。

「ゴミ拾いは楽しくてカッコいい」。ゴミを“捨てる人”を“拾う人”に

朝8時半から約1時間のゴミ拾いの後は、参加者みんなでカフェに。そこで、チームリーダー兼グリーンバード事務局の高橋愛香さんにお話をうかがいました。

 

―― 最初に、グリーンバード設立の経緯を教えてください。

 

グリーンバードは、表参道に本部があります。もともとは、表参道の欅会(商店会)の青年部の人たちが「せっかくこの街にいるのだから、街のために何かやりたいよね」と思ったことから生まれました。それが、ちょうど表参道のイルミネーションが始まったタイミングだったんですね。その当時、街のゴミが本当に多くて「ゴミ拾いだったら誰でもできるし、簡単だし、やってみようよ!」となったそうです。

 

―― そのときは、ひとつの商店街のボランティア活動だったんですね?

 

そうです。ただ、ゴミ拾いを始めてみると、毎回45リットルのゴミ袋が20袋ぐらい必要で、翌日も同じくらいゴミが出たらしいんです。その現状を見たときに「これは、僕たちが拾うだけだったら何も変わらないよね」「じゃあ、これを変えるにはどうしたらいいんだろう?」と考えるようになったそうです。

 

そこで、ゴミを捨てていた人も、ゴミ拾いを一度でも経験すると、もう落とさなくなるのではないかと考えました。そのことから、「“捨てる人”を“拾う人”にするにはどうしたらいいか?それには、掃除をしている僕たちが、おしゃれで、カッコよく、楽しくやることがいいんじゃないか」という結論に至りました。

 

―― 「“捨てる人”を“拾う人”にする」っていいですね。

 

「掃除の団体」と思われがちですが、どちらかというと、街や街づくりに関わりのない若者をどう取り込んでいくか、ということを趣旨にしている団体です。おしゃれに楽しくやっていたほうが街づくりにも関わりやすいですよね。

 

―― 先ほど、参加者が「ゴミ拾い」だけじゃなく、参加者同士が交流する場なんだ、と仰っていました。

 

(交流することで)何かが生まれたらいいですよね。グリーンバードも14年目ですが、この中で出会って結婚する人も出て来ていますし、仕事に結びついた人もいます。表参道チーム自体は「朝の合コン」みたいな形でメディアに取り上げられたこともあります。

 

―― 高橋さんご自身、活動の中で感じることはいかがですか?

 

私個人としては、知り合いが増えました。不思議なもので、この団体に会社の誰かが関わっているとすると、他の社員の方が参加された場合、私も相手もお互い知らないはずなのに、同じビブスを着て同じ活動をしているというだけで、仲間のような気がします。

スポーツウェアの要素を取り入れたビブス。活動当初、ナイキから提供される

―― では、ビブスを作ろうと思ったきっかけは何だったのでしょう?

 

街の清掃活動ってタスキのイメージがあったのですが「できれば今風におしゃれにしたいね」と考えて、スポーツウェアの要素を取り入れたそうです。活動当初のビブスは、スポーツメーカーのナイキさんからご提供いただきました。「おもしろい、意義のある活動ですね」と言ってくださって。当時の東京ヴェルディ(現、東京ヴェルディ1969)さんの練習着の端切れで作ってもらいましたが、厚手でとても丈夫で、未だに洗濯してもビクともしません。

 

―― ちなみに、このロゴはどなたが制作されたのですか?

 

グリーンバードのロゴ自体は、デザイナーの寄藤文平さんが作ってくださっています。寄藤さんは、JTの「街が好きになる運動」や、リクルートの「R25」の表紙など、幅広く活躍されている有名なデザイナーです。グリーンバードの当時の代表が、前職の広告代理店で寄藤さんと一緒に働いており、そのご縁から依頼をしたそうです。

 

「グリーンバード」という名前は『幸せの青い鳥』のブルーバードにちなみ、街に緑を増やしていく意味を込めて「グリーンバード」にしたんですね。だから、ロゴは鳥で、カラーは緑にしよう、となったそうです。

同じビブスを着て活動することが、“街づくり”に参加するきっかけに

―― 同じユニフォーム姿で清掃する目的は「関心のない人を取り込む」ということですか?

 

「ゴミ拾い」をしているというより、「パレードみたいな感じ」と思ったほうがいいし、見ている街の人たちにもそう感じてもらいたいんですよね。「あの人たちがゴミを拾っているし、ゴミを捨てるのはやめよう」「おもしろそうだから自分も参加してみようかな」というように思っていただけたら嬉しいです。

 

―― 自分たちの一体感だけではなく、街の人たちの視点を重視しているのですね。

 

どちらかというと、街の人たちから見て“一つの団体”と思って見てほしいという意識が強いかもしれないですね。グリーンバード自体、街の人たちに働きかけたい気持ちがありますから。

 

―― それが同じユニフォーム姿で掃除し続けることの意義でしょうか?

 

グリーンバードでは、同じビブスを着て、全国で活動をしています。自分の知らない街でも、同じ格好で掃除しているので、例えばどこかに旅行に行ったときも、「せっかくだから参加してみようかな」と思ってもらえるかもしれません。そうして街に関わる行動を起こしてもらえたら、グリーンバードとしてはとても喜ばしいことです。

“楽しい・おしゃれ”。だから爽やかに街にきれいが広がる活動

参加者も、そして、高橋さん自身も、本当に楽しそうに掃除していたのが、とても印象的でした。雑草や食べ残し、タバコなどのゴミを拾いながら自然と会話ができ、取材をしていても、親近感や仲間意識が湧きました。

 

環境や街づくりは、つい構えて考えがちですが、楽しみながらおしゃれに活動する新しい流れは、今後ますます広がるのではないでしょうか。

 

Interviewer&Writer:佐藤美の

【取材協力】高橋愛香さん

特定非営利活動法人green bird 事務局

2010年、大学2年生のときにテレビで報道されたgreen birdの活動を知り、学生池袋チーム立ち上げの日(2010年)に初参加。それから学生時代、会社員時代も継続して活動。2013年、社会人池袋チームの立ち上げを担当しチームリーダーに就任。2016年10月、green birdに事務局として就職し、企業のCSRをサポートしている。また、2016年10月から虎の門チーム(2013年設立)のリーダに就任し、池袋チームと兼任して定例そうじ活動を支えている。■HP:http://www.greenbird.jp

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