オリジナルTシャツを吊った店が並ぶシュエゴンダイン

ミャンマー人は民族衣装とも相性の良いオリジナルTシャツが好き?現地からリポート!

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昨年、ミャンマーでは、ほぼ半世紀ぶりに公正な選挙による文民政権が誕生。選挙期間中の街は、アウンサンスーチーさん率いる国民民主連盟(NLD)のシンボルカラーである赤いTシャツを着た人々であふれかえりました。

アウンサンスーチーさんの演説会に集まった市民

これらのTシャツは、NLDが販売するオフィシャルものだけではありません。実は、その多くは、支持者たちが思い思いにデザインしたオリジナルTシャツなのです。

 

ミャンマーの人たちは、ことあるごとにお揃いのオリジナルTシャツを作って着ます。今回の選挙はまさに、そんな“ミャンマー人魂”が炸裂したイベントでした。ミャンマーの人たちは、どうしてこんなにお揃いTシャツが好きなのでしょうか?

 

今回は、ミャンマーのオリジナルTシャツ事情に迫ってみます。

和を尊ぶミャンマーでは、チームワークを競う祭りが多い

カテイン祭りで行進するシャン族の子どもたち

ミャンマー人の国民性をひとことで表すなら「和の重視」です。仲間の絆を大切にし、誰かが突出することを好まず「みんな一緒」が大好き。そのためか、グループが力を合わせて何かの作業を競うお祭りが非常に多いのです。

 

街区ごとに山車を作って引く「28仏像祭り」や、3人ひと組で機織りのスピードを競う「袈裟織り祭り」、グループごとに集めた寄進の品をクリスマスツリーのように飾り立てて僧院までパレードする「カテイン祭り」など、数え上げたらきりがありません。そんなとき、チームの結束を固め、仲間意識を盛り上げてくれるのが、お揃いのオリジナルTシャツなのです。

 

他にも、上ビルマ地方の地方都市「チャウッセー」で行う象祭り。人が入った張りぼての象がダンスを競う祭りです。

象祭りでお揃いのオリジナルTシャツきる人々

象と象使い役が踊るステージをチームみんなで囲み、楽器と手拍子でダンスを盛り上げます。

 

こちらは、6人ひと組の男性チームが「タマネー」というモチ米料理の調理を競うお祭りです。

タマネー祭りでオリジナルTシャツを着た人々

この写真には写っていませんが、各チームの応援団も同じTシャツを着て鍋を取り囲み、音楽と手拍子でエールを送ります。

Tシャツは民族衣装「ロンジー」との相性も抜群

お揃いのオリジナルTシャツを着た人たち

それにしてもなぜ、ミャンマー人はこれほどお揃いのオリジナルTシャツを好むのでしょうか。

 

ミャンマーは、世界でも最も民族衣装を日常着として着る国のひとつです。ミャンマーの民族衣装は「ロンジー」と呼ばれ、長方形の布を筒状に縫い合わせて腰に巻きつけるスタイルですが、比較的安価で買えるボトムに比べ、上半身に着るシャツやブラウスは仕立てねばならず、少々値が張ります。

 

しかし、Tシャツならイベントのためだけに購入してもさほど高くありません。しかも常夏の国ですから、基本的には半袖Tシャツで事足り、さらにお手軽なのです。

“オリジナルTシャツショップ通り”もある「ヤンゴン」

手作業でプリントする人たち

こういったTシャツはミャンマー全土で着られていますが、特に「ヤンゴン(ミャンマーの旧首都で、ヤンゴン管区の州都)」は盛んで、オリジナルTシャツショップが建ち並ぶ一角があるほどです。「シュエゴンダイン」と呼ばれる交差点周辺がそれ。どの店も店の前の歩道にビニールシートを広げ、プリントしたばかりのTシャツを並べて乾燥。なかなか色鮮やかな光景です。

 

オリジナルTシャツのプリントは、シルクスクリーンを使った手作業。1色ごとに色を置いては乾燥させ、また次の色を重ねていきます。Tシャツのほか、バッグや旗、傘、帽子などにもプリントしますが、Tシャツが圧倒的に多いようです。

オリジナルTシャツショップは1990年前後に次々とオープン

オリジナルTシャツを手に持つ従業員

たくさんあるオリジナルTシャツショップの1軒「チッセイン」で、オーナーのトーさんにお話をうかがいました。創業40年以上という老舗です。

 

彼によると、40年前にはオリジナルTシャツショップはこのエリアには3軒しかなかったとか。1990年頃にミャンマーにコンピューターが普及し始めると原版作りが簡単になり、参入する業者が激増。かつては、サッカーなどのスポーツチームのTシャツ作りが中心でしたが、民主化以降は企業のノベルティ商品の注文が一気に増えているそうです。

 

プリントは50枚から注文でき、注文から納品まで約1週間を要します。Tシャツは持ち込み可で、使用する色数、注文枚数によって違ってきますが、単色で100枚注文すれば1枚あたり500チャット(約40円)、複数色なら1500チャット(約130円)から(Tシャツ代含まず)。屋台で食べる定食が1500チャットぐらいですから、昼ごはん1回分といった感じでしょうか。企業を除けば予算の問題もあり、2色か3色で文字のみ、というのが一般的とのことでした。

ボランティアブームでオリジナルTシャツ需要が増加

オリジナルTシャツで募金活動をする若者たち

また最近、目立っているのが、ボランティアグループがオリジナルTシャツを作るケースです。

 

功徳を積むことを重要視する上座部仏教信者が多いミャンマーの人たちは、ボランティアにとても熱心。世界ボランティア指数でも、並みいる経済大国を抑えて2年連続で1位に輝いているほどです。

 

軍事政権時代、民主化デモを恐れた政府は5人以上の集会を禁止していたため、大っぴらに集まりにくい時代が長く続いていたのですが、集会禁止令が解けてしばらくした2015年、ミャンマー北西部を大規模な洪水が襲い、甚大な被害を出しました。これまでのうっぷんを晴らすかのように、多くの若者たちがグループを組んでボランティアにいそしみ、グループの名称やマークを印刷したオリジナルTシャツの需要が一気に増えたといいます。

民主化で社会が変わろうとも“ミャンマー人気質”は変わらず

オリジナルTシャツが並ぶ光景

今、ミャンマーは民主化が進み、急速に街の様相が変わってきています。2年前までは携帯電話の普及率でさえ10%に満たなかったのが、今では街行く若者のほとんどがスマートフォンをいじっているほど。けれども、仲間の和を大切にする“ミャンマー人気質”はまだまだ変わりそうになく、オリジナルTシャツブーム需要も当分続きそうです。

 

ミャンマーで仕事をする機会があれば、職場でオリジナルTシャツを作ってみてはいかがでしょうか?仲間との結束が、より深まるはずです。また、ミャンマーよりも印刷クオリティが高い日本で作って、お土産として渡しても喜ばれるかもしれません。

 

ただし、ひとつ気をつけねばならないことがあります。それは、下半身まで届くロングTシャツなどを作る場合、仏教に関連したイラストや言葉が腰より下の位置にならないようにだけ注意してください。敬虔な仏教徒であるミャンマー人は不快に感じるそうですから。

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オリジナルTシャツ ポロシャツ

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板坂真季

板坂真季

編集&ライター

日本でのフリーライターを経て中国の上海、ベトナムのハノイで計7年間、現地フリーペーパーの編集に従事。日本の雑誌、書籍、webマガジンなどへも多数寄稿し、各種ガイドブックの編集・執筆・撮影にも関与。日本の雑誌のコーディネートや企業の市場調査などの経験もあり。2014年よりヤンゴン在住。ヤンゴン以外のミャンマー地方情報や旅行情報にも通じている。

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